おきらくアウトドア

「こころ」はだれにも見えないけれど
「こころづかい」は見える
「思い」は見えないけれど
「思いやり」はだれにでも見える

震災後、毎日テレビで流れていたACジャパンのCM。
その中でも、ひときわ心に残ったのが、詩を用いたもの。
金子みすゞさんのものと、宮澤章二さんのもの。
金子みすゞさんの詩はやさしさとニュアンスに溢れ、自分も大好きで、今回の詩も子どもはすぐに覚えて、一緒に暗唱したりしました。
上に引用した４行の言葉が流れるCMは宮澤章二さん。
いいですね。シンプルなのにとても分かりやすい。

人に親切にしたいとおもっても、友だちと一緒だとなにか照れくさかったり、
もしも手を貸そうとして断られたらかっこわるいし傷つくし・・・
いざとなると行動できない・・・
そんな青臭いもどかしさ、葛藤を乗り越えて、一歩踏み出せた嬉しさ。
誰にでも経験のあるような、そんなひとコマを少年の視線からうまく切り取ったCM。

最初、これが誰の詩なのか、自分はまったく見当もつかなくて、よく見れば画面に小さく名前が出ているのをずっと気にしていたのですが、
宮澤章二さん。
いったいどんな方だろう・・・。
気になってウィキで調べてみたら、あの「ジングルベル」を訳詞した人だそうです。あと小中高約300校の校歌を作詞した方だそうです。



　ネットで注文していた宮澤章二さんの本が、3週間かけてようやく昨日届きました。




　あらためてまえがきを読むと、地元の冊子に中学生に向けた詩を、毎月一遍、30年間にわたって贈り続け、それらが3冊の詩集になったそうです。
詩集を手にとって読んでいくと、この方の詩は、とてもかちっとしていて、誠実なものでした。
寝る前にいつも子どもに本を読むのですが、そのときにこの中の詩もひとつづつ読むことにしよう。





　　　　　　行為の意味

―― あなたの＜こころ＞はどんな形ですか
と　ひとに聞かれても答えようがない
自分にも他人にも＜こころ＞は見えない
けれど　ほんとうに見えないのであろうか

確かに＜こころ＞はだれにも見えない
けれど＜こころづかい＞は見えるのだ
それは　人に対する積極的な行為だから

同じように胸の中の＜思い＞は見えない
けれど＜思いやり＞はだれにでも見える
それも人に対する積極的な行為なのだから

あたたかい心が　あたたかい行為になり
やさしい思いが　やさしい行為になるとき
＜心＞も＜思い＞も　初めて美しく生きる
―― それは　人が人として生きることだ

「行為の意味・青春前期のきみたちに」宮澤章二著





　あの大震災から一ヶ月が経ちましたね。
いまなお、被災地で、避難先で不安な心を抱えて生活している方たちに
一日も早く笑顔が戻りますように。