JAMES TAYLOR

harry

2009年03月12日 20:15

 今日、3月12日は、ジェイムス・テイラーの誕生日なんです。
1948年の3月12日。アメリカのボストンで生まれたんです。今日で61歳になりました。
きっと、家族や友人から盛大に祝福されて、楽しい一日になることでしょうね。
お誕生日...おめでとうございます! 


 そんな嬉しい日に、JTの先輩である、guitarbirdさん と、jess-edさん とご一緒に、お祝いの記事を上げさせていただくことになりました。
含蓄深い、参考になるお話は、このお二人にお任せすることにして、駆け出しのJTファンのわたしはのんびりと、自分が大好きなJTと、彼の一枚のアルバムについて話をさせていただくことにいたします^^

 
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 わたしがジェイムス・テイラー(以下JT)のことを知ってから、初めて聴いた記念のアルバムは「JAMES TAYLOR」でした。
1968年、アップルレコードからリリースされた、彼のデビューアルバムです。
スーツを着て胸にアイビーをさしているまだ20歳のJT。
歌声先行だったため、ここで初めて彼の写真をみて、へえ、案外カッコいいんだと思いつつ、でもちょっとかっこつけた人と思いました。(←第一印象、笑)
 さっそく聴いてみると...少し鼻にかかっている優しい声は、いつでもにこっと笑っているような気がする。
そしてメロディーの親しみやすさは抜群。自分にとって、最高にお気に入りの一枚になりました。
 このアルバムは、当時契約したアップルレコードの内部事情に巻き込まれ、プロモーションしてもらえずにヒットにはつながらなかったそうです。当時のJTはきっと落胆したことと思います。

 それ以前にJTは心を病んで入院したことがあったり、フライングマシーンというバンド(このアルバムのほとんどの曲はそのときに原型ができてました)でシングルも出したものの、今度はヘロイン中毒になってしまってまた療養したり...。驚くほどもろい一面を持っている人なんです。それが18歳から19歳までの、10代の最後にまとめて彼に起こっています。
この頃のJTに何が起こっていたのか...調べても詳しい話はわかりませんし、その件に関しては個人的なことなので知らなくてもいいと思っています。だけど、JTは不思議といつも人脈に恵まれて、彼の才能を信じる家族や周りの人に支えられているようだなぁという印象を持ちます。
どこか人をひきつける部分がある人なんだろうな。
だけど彼の音楽を聴いていると、なんだかそれも納得が出来る気がしてくるんですよ。





 このアルバムには、繰り返し繰り返しでてくる、キーワードがあります。sunshine サンシャシン、です。
温かい太陽の光を、JTがどんなに求め恋焦がれていたかが、歌詞をみていくとよくわかりますよ。
そして、その対比として夜と月の光が存在しています。

 そして、そのほかにも、すぐに気がつくこととして...
彼は自然の事象をすごくさりげなく、歌に盛り込んで居るんですよ。
たとえばgeese, night owl, cat fish, といった生き物や、rain, sunshine, silver sun, star, sunset, dark side of the moon, という言葉が散りばめられているのです。
自分にとって、そういうJTの感性ってとても親しみが沸く部分。
アメリカの彼が生まれ育った土地は、自然が豊かだったのかなぁ。いつも、自然の中の風景に心を動かされていたのかなぁ。



 大好きなアルバムなので、自分がこの中の曲からうける印象を歌の内容という観点から少々書き綴ってみます。
緑色のテキストは、印象的に残った歌詞の日本語訳部分です。


 1曲目 Don't Talk Nowで 押さえ気味に始まるこのアルバム。
ボクがどこにいたか君は知らない。手に入れたものも見せてあげない。今は話しかけないでくれ。 
 2曲目 Something's Wrong そのまま、グリーンスリーヴスのアコースティックギターのイントロで始まるこの曲をわたしはとても好きです。だけど聴いていて感じるこのつかみ所のない淋しさっていったいなんだろう?歌詞を追って行くと、この歌は不確かな自分の存在について歌っていたのでした。
 耐えられなくなったら、ここを出て行こう...
 3曲目 Nocking 'Round The Zoo ブラスの入った、とっても楽しいこの曲ですが、実はJTが10代で病院に入院していた時のことを思い出して書いた曲だそうです。順風満帆ではなかった彼の人生のスタートですが...クスリの過剰摂取などで亡くなるアーティストもたくさん居たなかで(ご冥福をお祈りします)、生きててくれて本当に良かった、と思います。ほんとにねぇ。
 4曲目 Sunshine, Sunshine ストリングスで始まるこの曲がわたしは大好きです。でも、最初こそ、太陽の暖かさと笑顔あふれる始まりなのに、夜になり、太陽が隠れると、歌の中の彼女の心は金色からシルバーブルーに変わってしまうんです。このまま終わらないでなんとか盛り立てて欲しいところですが...(笑)
ところでJTの言葉の選び方ってなんとなく好きなんです。きれいな言葉を選んでいると思います。
青く透明な霊たちと月明かりの庭が彼女の元に弱さと、孤独と、淋しさを残していく。静寂で灰色の夜明け
 5曲目 Taking It In ナンセンスで、軽快な楽しい曲。最後のフレーズが好きなんです。 
 目を見開いて見回してみること。すべてがそこにあるんだから! 俺、陽の光を入れて、って言ったんだよ。 
 6曲目 Something In The Way She Moves 何かをしてくれることを期待してるんじゃなくて、いてくれる事が大切だっていってる。この曲も「存在」そのものについて歌ってる。
聴いていると、自分も、誰かを元気づけているといいな、と願う歌。
 ボクが元気なときは、彼女と一緒だったと思ってくれ。
 7曲目 Calolina In My Mind 大好き。Darkside of the moon にいるボクが、早く太陽の光の中に戻って来てくれますように!と思ってしまう歌。
陽の光がみえないかい?月の光は感じないかい?それはちょうど後ろから肩を叩く友達みたいなものなんだ。  
 8曲目 Brighten Your Night With My Day 穏やかで心地よい曲。またもや朝は元気なボクは日暮れともに淋しくなってしまう。だけど大切なものの存在が感じられた時、自分から彼女を照らしてあげる、と言い切っている。そんな温かく、頼もしさ溢れる歌。
 9曲目 Night Owl 元気なホーンで楽しげな雰囲気。太陽を求めているはずのJTが、ここでは夜のフクロウになって、『太陽なんかなくてもへっちゃらさ』って強がる(笑)!
10曲目 Rainy Day Man 優しい歌詞と、背後で奏でられているギターのメロディが繊細。大好きな曲です。
幸せな振りしてないで。心細くなったら、雨降り男を振り向いておくれよ。
11曲目 Circle Round The Sun 歌詞がとてもきれいな曲ですよ。JTの控えめな愛情表現をきいていると、側に行ってぎゅっと抱きしめたくなります(笑)。向こうは勘弁してと思うかもしれないけど(笑)。や、でもね、このアルバムが出た当時、この曲を聴いてそう思った女性は少なくなかったんじゃないかな(笑)
彼女は太陽を取り巻く輪のように、ボクの体に腕をまわす。
12曲目 The Blues Is Just A Bad Dream 突然ブルース調!それがまたカッコいい曲!またもや淋しい心をさらして、風と一緒にどこかへ行ってしまいそう。

 

春のミモザの花は、ちいさな太陽みたい


 

 明るい太陽はすぐに影をひそめ、すぐに淋しい夜がくる。変化を求め、だけど思うとおりに行かない。
そんなもどかしさを抱えつつも、斜めに構えようとも、だけど人を信じ続ける。
そんな気持ちが込められた歌がひたすらならんでいるこのアルバムは、10代後半から20代にさしかかる、JTの心をそのまま写しているのじゃないかな。
 そして、JTの傾向として、ここに留まって立ち向かうというような強い意思じゃなくて、なんとなく憂鬱な気分を歌いこんで、なんとなくそれが過ぎればいいなぁ、だめならどっかいっちゃおう的な空気感も感じたり...。それは時代なのかもしれないし、単純に彼の個性なのかもしれないけれど。
 

いつかみかけたら、ぜひこのアルバムを手にとって聴いてみて欲しいなと思います。


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